山形由美 魅惑の三重奏~フルート、ハープ、ピアノの調べ~(スターツおおたかの森ホール)に行く

●2020年1月25日(土)、「山形由美 魅惑の三重奏~フルート、ハープ、ピアノの調べ~」と題するコンサートに行った。会場はスターツおおたかの森ホール。このコンサートは、2019年4月にオープンした同ホールのオーププニング企画の第10弾。文字通り、魅惑の調べに心を奪われる至福の時間を過ごすことができた。

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●山形由美さんは日本を代表するフルート奏者のお一人。ステージの進行は、その山形由美さんがホスト役を務め、ゲストとしてハープの松井久子さん、ピアノの菅野潤さんを迎える形(注)。演奏の前後で山形由美さんが曲の紹介や解説を行い、このほかタイミングよくゲストのお二人に問いかけ、興味深い答えを導き出していく。山形由美さんのトークもとても巧みで分かりやすく魅力的だ。

(注)松井久子さんは日本フィルハーモニーのフルート奏者で国内外で幅広く活動、菅野潤さんはパリを拠点とし国際的に活躍する方。

●演奏される曲目は、フルートのために作曲された曲に限らない。様々な有名な曲をフルートで演奏することで、その曲の新しい魅力が引き出されるような感じ。まさに曲に新しい命を吹き込む「魔法の笛」とでも言えようか。このほか、ゲストのためのピアノ独奏、ハープ独奏の各1曲も用意され、実にバラエティに富むプログラムであった。

●それでは、演奏順に、その様子や感想などを記してみたい。

【フルートとハープ】

エルガー:愛の挨拶

~ピアノ独奏又はピアノとヴァイオリンの曲としてあまりに有名な曲。フルートの音色はのびのび、朗らかで、ハープの伴奏も優雅。

メンデルスゾーン:歌の翼 による幻想曲

~もともとは歌曲。フルートが奏でる旋律は流れるよう、いや羽ばたくように美しく、これに優しく寄り添うハープの伴奏はリズミカル。

ドニゼッティ:ソナタ ハ短調

~前半はゆっくりとした哀愁感漂う懐かしいメロディ、後半は軽快でフルートとハープの掛け合いも見事で躍動的。

【ピアノ・ソロ】

ショパン:舟歌 嬰へ長調Op.60

~心が揺さぶられるようないかにもショパンといった曲。メリハリが効いたドラマチックな演奏。音の響きから光が感じられるよう。舟歌だから水面に煌めく光だろうか。

【フルートとピアノ】

リスト:愛の夢

~これもピアノ曲として超有名な曲。フルートとピアノの息もぴったり。余裕さえ感じられる堂々たる、そして情感がこもった見事な演奏。

グラナドス:アンダルーサ

~山形由美さんと菅野潤さんが欧州ツアーで共演した際の演奏曲の一つ。原曲はピアノ曲。異国情緒漂う魅力的な雰囲気。フルート演奏もピアノ伴奏も歯切れよい快演。

プーランク:愛の小径

~これもツアー共演での演奏曲。原曲は歌曲だけに、表情変化が豊かで歌うような曲。フルートの息づかいも指さばきも冴えわたり、ピアノ伴奏もこれを確りと支えている。

リュリ:パッサカイユ

~リュリのオペラの代表作『アルミ―ド』からの一曲。原曲は管弦楽による舞曲。厳かで煌びやかで、それでいて何故か哀しさも感じられる。コンサートの前半の最後を飾るに相応しい圧巻の演奏。

(休憩)

【ハープ・ソロ】

黛敏郎:ROKUDAN

~筝曲「六段」へのオマージュか。和風テイストのハープ曲で大変興味深い。幽玄にして雅(みやび)、そして少しだけ奇妙な印象。しかし奇妙と言っても違和感は無い。月並みな言い方だが、大胆にして細心な表現に驚かないではいられない。

【トリオ】

ビゼー:カルメンより間奏曲

~原曲でもフルートが活躍する名曲。三重奏ながら管弦楽版を思わせる奥行きの深さ。

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲より第2楽章

~原曲は私も大好きな曲の一つ。ピアノが管弦楽の分を全て担う形。3人の息もぴったり合って立派な「協奏曲」。典雅で上品、正に極上の調べを聴けて大満足。演奏後の菅野潤さんのコメントで「弦楽器の柔らかさを出すように工夫した」とのこと。なるほどと納得。

ドビュッシー:小舟にて

~原曲はピアノ四手連弾曲。フランス印象派ドビュッシーの曲だけに、とても絵画的、確かに川遊びをしている光景が目に浮かぶよう。

ラヴェル:マ・メール・ロアより
・眠りの森の美女のパヴァーヌ
・妖精の庭

~これも原曲はピアノ四手連弾曲。題材はマザー・グース。素朴な旋律とその中で小さなドラマが展開していくといった印象。フルート、ハープ、ピアノが三者三様の語り手としては物語を紡いていく。ラベルも印象派の一人。終盤での色彩的な表現も素晴らしい。

大政直人編曲:ウィーンの調べ 春の歌~トリッチトラッチポルカ

~大政直人さんが今日のために編曲した曲とのこと。気分が高揚する楽しく華やかで軽やかな曲。確かにウィーンの雰囲気が感じられるよう。
大政直人さんが観客席に居られ、演奏終了後、会釈するサプライズも。

<アンコール曲>

大政直人編曲:小さな星に願いを

~アンコール曲としてもう一曲、大政直人さん編曲の曲。「小さな星」と「星に願いを」がメドレーになったもの。スィング感溢れ、流れるようでファンタジック。3人がそれぞれ聴かせどころを持つ。

グノー:アヴェ・マリア

~ここで山形由美さんから一言。「今日本来このステージに立っているはずだったのは佐藤しのぶさん。佐藤しのぶさんとはデビュー同期。ご冥福を祈りながら演奏したい」(注)。原曲はピアノ伴奏による声楽曲。佐藤しのぶさんに捧げる「アヴェ・マリア」は、観客全員の心を動かす感動的な演奏となった。

(注)当初、今日は佐藤しのぶさんがコンサートをする予定であったが、彼女の急逝により、今回の企画に変更になった経緯。

以上

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