森高千里「この街」ツアー2019東京公演に行く

●2019年10月5日(土)、森高千里「この街」ツアー2019東京公演に行った。会場は三軒茶屋の昭和女子大学人見記念講堂。18時の開演から20時半の終演まで休憩なしの二時間半。森高千里さん(以下、敬愛の念を込めて「森高」と呼ぶ)は全20曲を歌って踊りまくり、観客の我々は全員立ちっぱなしで手拍子を打つ、あるいは歌に合わせて手を振る。まさにアドレナリン出まくり夢のような時間。いまだに興奮が冷めやらない。

M 森高このまち2.jpg


●私は常々「森高の前に森高なし、森高の後に森高なし」と言っている。彼女がいかに特異な存在であるかを伝えたいのだ。単に可愛いだけのアイドルならたくさんいる。歌が上手いだけのアイドルも同じだ。お洒落なシンガー・ソングライターももちろんいよう。

●しかし、ドラムが叩け、ギターやキーボードが弾け、そして何より、殆どすべての曲に自分で自在に歌詞を書き、その内容も体裁を全く気にしないナチュラルさ故に聴く者の心をつかんで離さない。そんな歌手は森高以外にいない。作詞のセンスは驚異的だ。コミカルなものからシリアスなものまで、ハードなものからロマンチックなものまで、そして時にはシュールとしか言いようがないものも。歌は上手いというより「ヘタウマ」の味わい、踊りも「体操的」な「ぎこちなさ」が魅力だ。

●今日の東京公演は、「この街」ツアー全37公演の24回目。ステージ上は、中央のミニステージの両側にバンド・メンバー。大きな拍手と歓声に迎えられて森高が颯爽と登場する。衣装は黒とシルバーでまとめたキュートなもの。ミニスカートがよく似合っている。そして歌い出した第1曲目は、何と何と「薹が立つ」(とうがたつ)、これまでの公演での「NEW SEASON」ではない。いきなりガツーンと一撃を受けた感じ。続くは「ミーハー」。この曲を歌い終わったところで、お待ちかねのご挨拶。東京公演は特別なイベントなので、選曲も衣装も全く新しくした。あっという間に時間が過ぎてしまうから最初から乗って来てね。という感じ。会場のテンションが上がってしまう。

●挨拶に続いて、森高が再び歌い始める。冒頭の2曲を含め全20曲。ステージはシンプルだが、曲によって照明を巧みに使い分ける。赤、黄色、青、緑等のスポットライトが揺れ動くさまは華やかそのもの。

●歌の切れ目では、ところどころで軽妙なトーク(MCっていうのかな)も入る。「今回のツアーは自分でも楽しもうと思う。各地の美味しいを食べてインスタにも載せている」「食べ過ぎじゃないのってよく言われるけど、ちょっとずつだけ」。「今日初めてコンサートに来た人は?」ときいて、意外に大勢が手を挙げると「どうして今まで来なかったの?」と笑いを誘う。「20歳代の人はいるの?」に応えて手を挙げた人に「どうして来たの?」と尋ね「ファンの人に連れられてきた」との答えに「えっ、無理やり?」とつっこみ「その人に影響を受けて」と返され「ああ、良かった」といった楽しいやりとり。バンド・メンバー紹介の後では、「終演後はいつも打ち上げにいくのって聞かれるけど、めったに行かない。この世界、華やかに見えるけど結構地味」との正直発言も。といった感じの自然体トークに心が和む。

●それでは、森高が歌った20曲をご紹介しよう。

1.薹が立つ(1996年「TAIYO」収録、作詞:森高千里、作曲:伊秩弘将) 
まさかの選曲。とととととととで始まるリズム感溢れる超ユニークな曲。内容はシンプルそのもの。熊本弁も飛び出し楽しい。確かにオープニングに相応しい一曲。

2.ザ・ミーハー(1988年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
初期の代表曲。「お嬢様じゃないの、私ただのミーハー。だからすごくカルイ、心配しないでね」と高らかに宣言する潔さに脱帽。

3.見つけたサイフ(1992年「ROCK ALIVE」収録、作詞:森高千里、作曲・編曲斉藤英夫)
塾の帰りに私が見つけて友達が拾ったサイフ。警察に届けると、持ち主が現れなかったら拾ったと友達がもらえるという不条理を嘆く歌。こんな内容を歌にすることこそ森高の真骨頂。なお、最後の後味は良い。

4.勉強の歌(1991年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
日本テレビ系アニメ「おちゃめなふたごクレア学園物語」の主題歌。私も大好きな曲。生でこの歌を聴ける喜びは絶大だ。私は英語も歴史もちゃんとやらなかったので、国際人にも文化人にもなれなかったけど。

5.非実力派宣言(1989「非実力派宣言」収録、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
この曲も森高の立ち位置を見事に表わしている。自分が実力とは縁がないと開き直っているのだ。でもよく考えてみよう。この歌詞はソクラテスの「無知の知」に通じるものであることが分かる。

6.手をたたこう(1993年「LUCY 7」収録、作詞・作曲:森高千里)
ここで森高が自らドラムを叩く。確かに上手い。曲の内容は「手をたたこう、みんな一緒に、足ならそう、みんな一緒に」の繰り返しだけなのに、この不思議な呪文で会場は異様に盛り上げる。さすが森高!

7.出来るでしょ!!(1996年「TAIYO」、作詞:森高、作曲:伊秩弘将軍)
これも森高がドラムを叩く。揺れる女心を素直に歌う曲。森高はこういうピュアな歌も上手い。

8.ザ・ストレス(1989年、作詞:森高千里」
森高の「特異性」を示す代表曲の一つ。期待通り、白いエプロンをつけて登場し(出だしで失敗したのも微笑ましい)、途中では銀色の丸いお盆を持って踊る。素晴らしい。

9.17才(1989年、作詞:有馬三恵子、作曲:筒美京平、編曲:斉藤英夫)
私の世代では1971年の南沙織のデビュー曲としての方が有名か。森高カバー版は超烈なインパクトがある。もちろんどちらもチャーミングだ。

10.私がオバさんになっても(1992年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
この曲も森高の人気曲の一つ。タイトルは風変りだが、内容は心を打つ。それにつけでも森高は全くオバさんにならない。

11.雨(1990年、作詞:森高千里、作曲:松浦誠二、編曲:斉藤英夫)
森高ファンならずとも誰でも知っている名曲中の名曲。森高の曲はアップテンポでロック風のものが多い中、こうしたスローな正統派バラードも実に上手い。辛い別れに思い切り感情移入してしまう。

12.Don’t Stop The Music(2013年、作詞・作曲:Tofubeats)
この曲はTofubeatsとのコラボ。コアな森高ファンなら知っていそうだが、私は初めて聴いた。

13.渡良瀬橋(1993年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
「雨」とともに多くの人に愛されるバラード。幸せだった過去を懐かしむ心を森高が切々と歌う。こちらも名曲で、私も大好き。森高自身が吹くアルトリコーダーも素敵だ。

14.二人は恋人(1955年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
付き合って少し時間がたった恋人同士。女性側の微妙な心理を見事に描く秀逸な曲。最後の「やっぱりあなたが好きだから、今日も許してしまうの」を聴くと、やっぱり二人は仲がいいんだなと納得。

15.うちにかぎってそんなことないはず(1990年「古今東西」収録、作詞:森高千里、作曲:直枝政太郎、編曲:斉藤英夫)
出たかこの曲って感じ。はじめはまともな曲かと思っていると実は究極の親ばかとも言える飛んでもない内容。この曲も森高の特性をはっきり示すシュールな曲。「まいったまいった」はこっちの台詞かと。

16.気分爽快(1994年、作詞:森高千里、作曲:黒沢健一、編曲:高橋諭一)
アサヒビールのCFで使われた有名な曲。ライバルである友人の恋の進展を「乾杯」で祝うも、心の中は複雑。そんな女性の気持ちを明るく歌う。曲が始まる前にみんなで練習したので、「振り」も完璧。

17.夜の煙突(1989年「非実力派宣言」収録、作詞・作曲:直枝政太郎、編曲:カーネーション)
カーネーションの1984年の曲のカバー。この曲が始まると会場からどっと歓声が沸き起こる。めちゃくちゃ乗りが良く面白い歌。誰かが「隠れた名曲」と言っていたが、正にその通り。

18.テリヤキ・バーガー(1990年「古今東西」収録、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
音楽を志す友人を力強く応援する心躍る歌。「アメリカ、イギリス、関係ないわよ、夢を持つのよ、世界制覇よ」のフレーズでは観客席も唱和し大熱狂。

~ここからアンコール

19.この街(1991年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
一旦舞台裏に下がった森高が衣装を替えて再登場。今度は青と白で決めている。ミニスカートも可愛い。「この街」は今回のツアーのタイトルになっているので絶対に聴かなくては。自分の故郷(ふるさと)を思い愛するこの歌は本当に素晴らしい曲。生で聴けてこんなに嬉しいことない。なお、語り部分はシングルバージョンのとんこつラーメンではなく、アルバムバージョンの馬刺し。

20.コンサートの夜(1992年、作詞:森高千里、作曲・編曲:斉藤英夫)
やっぱり最後は定番のこの曲。森高の歌声を一瞬でも聴き逃すまいと必死に聴く。今日は最高の「コンサートの夜」となった。

●音楽にはいろいろなジャンルがあり、それぞれ素晴らしい。森高は私の中で一つのジャンルとも言うべき大きな存在だ。まだ50歳。これからも是非元気で活躍していただきたい。

以上

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント