中村蓉ソロダンス公演『SONATA ソナタ』を観る

●2013年7月15日(月・祝)、セションハウス(神楽坂)で、中村蓉さんのソロダンス公演『SONATA ソナタ』を観た。間違いなく傑作である。しかも、コンテンポラリー・ダンスが、こんなにも観る者の心を動かすことができるのか、と改めて感じ入るほどの。作品の素晴らしさに加え、それを演じる中村蓉さんが放つ不思議なオーラにもすっかり魅了されてしまう。演技時間の60分が、文字通り、「あっという間」に感じられる、実に素晴らしい公演であった。私は、中村蓉ワールドに完全にはまってしまったようだ。

(注)私が彼女のダンスを観るのは、今回で2回目。2012年6月のダンス公演『咲いた咲いたダンス花Vol.16』での『別れの詩』以来となる。この時の感動も記事にしているので、よろしければご一読いただきたい。⇒こちら

画像


●本作品の主要なメンバーは以下の通り(敬称略))。

構成・振付・出演:中村蓉
振付演出協力:堀菜穂
台詞場面演出協力:吉中詩織
映像出演:森川葵

●本作品のテーマは、「誰かを想う女性」(当日配布パンフ)。中村蓉さんは、このテーマを、極めて具体的に、いや見ようによっては優れて象徴的な形で、観るのものに投げかけてくる。しかも、その手法は、いわいるダンスに加え、映像や奇妙な一人芝居、パペット(ハンド・パペット?)や玩具(積み木等)などを総動員したもの。ダンス自体は、一見、大げさな仕草ばかりが目につきそうだが、ここぞという所での繊細な、あるいは大胆な身のこなしは、その実力を十二分に示していて、作品全体に強い説得力を与えている。どのシーンも見逃せないが、以下、特に印象に残った場面を挙げておく(ほとんどかも)。

◇美しいピアノ曲をバックに、黒いワンピース姿で繊細で優美なダンスを踊るシーン。
◇白スカーフを纏(まと)い白手袋をはめ、手にしたバックから「東京バナナ」の菓子折りを取り出すシーン。
◇花柄の素敵なワンピースを着て、しきりとマーホーム自慢を繰り返すシーン。可笑しさを超えて不気味!
◇マリリン・モンローの「帰らざる河」の曲が流れる中、ワニとアヒルとアルパカが演じる「葛藤劇」(?)
◇(映像)少女が「将来の夢は作家になること」と作文に書くシーン。青い空が印象的!
◇芥川龍之介に憧れる女子学生が本と踊る奇妙なダンス・シーン。
◇後ろ姿でカエルのパペットを操るシーン。これは凄い!
◇ピアノ/ヴァイオリン曲に合わせ、青っぽい衣装を着て、前かがみで、こそこそと控えめに、かっこ悪く踊るシーン。

●こうしたシーンを通じ、ステージ上では、過去と現在と未来が、そして、夢(あるいは妄想)と現実とが、行きつ戻りつ、交差し合い、作品全体として大きなタペストリーが編みあがるような印象だ。

●中村蓉さんのダンスの特徴は、「抒情性」といえる。しかし、それは、無邪気な「少女趣味」とも、単なる「懐古趣味」とも全く異なる次元のもの。特異な感性、研ぎ澄まされた感覚、一風変わったユーモア・センス、優れたダンス・テクニック、そしてバックボーンにあるインテリジェンス(文学・音楽など)が、まさに一体となった時に、すっくと立ち上がる独特なもので、一種の「凄味(すごみ)」さえ感じられるほど。こうした振付家/ダンサーは、ほかに思い当たらない。今後ますますのご活躍を心よりお祈りしたい。

(余談だが)

●終演後、会場は一種の高揚感に包まれ、しばし拍手がなりやまず、いったん退場した中村蓉さんが再びステージに登場し挨拶をすることとなった。いわゆる「カーテン・コール」だが、オペラやコンサートと違って、こうした光景はコンテンポラリー・ダンスではあまり目にしない。それだけ、観客の心を掴んだ素晴らしい公演だったのだ。

以上

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

Inessa bop
2019年05月06日 14:17

-----------------------
всем успеха...
Dominika bop
2019年05月06日 14:17

-----------------------
всем успеха..
Tat'jana Lig
2019年05月06日 14:17

------------------------
Пока, пока...
Ariadna Jal
2019年05月06日 14:17


всем пока, пока...
Angelina Cep
2019年05月06日 18:47


Желаю успеха!

この記事へのトラックバック