二代目高橋竹山コンサート~東北を見つめて~に行く

●2019年11月1日(金)、東京文化会館小ホールで開催された、二代目高橋竹山さんのコンサート~東北を見つめて~に行った。私は民謡や三味線と言ったジャンルの音楽には全く無縁で、もちろん二代目高橋竹山さんの唄や演奏に生で接するのは初めてだったが、心に沁みる唄と変幻自在の三味線の響きに、ただただ驚き感動。こんな素晴らしい世界があったのかと今さらながらに気付く貴重な体験となった。

T 高橋竹山.JPG


●今回のコンサートに足を運ぶことになったことには少し事情がある。実は、今年の4月に詩人の佐々木幹郎氏にお会いする機会があり(注1)、その際、事前に著書を何冊か読んでいったのだが、その中でも二代目高橋竹山さんが登場する「東北を聴く」が最も印象に残り、是非一度ご本人のコンサートに行きたいと思っていた。そうした折、オペラを観に来た時に東京文化会館の公演チラシBOXを覗いていたら、偶然このコンサートのチラシを発見したという経緯。今日は念願が叶いとても嬉しい。
(注1)
佐々木幹郎氏にお会いした時の記事はこちら
(注2)
「東北を聴く」は佐々木幹郎氏が二代目高橋竹山さんの震災被災地行脚に同行し記した稀有な紀行文
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●会場の東京文化会館小ホール(席数約650)は満席の入り。シニア層が圧倒的に多いが中には若い層も。普段、こういう方々はどんな音楽を聴いているのだろう。ステージは至ってシンプル。黒い木製の椅子とマイクスタンドが置かれているのみ。定刻(18:30)となり、二代目高橋竹山さんが現れた。衣装は上下とも黒で、髪型は所謂「坊主刈り」。観客席からはすかさず「待ってました」の声がかかる。

●演奏曲は以下の通り。演奏の様子や拙い感想等も付した。なにぶん「ド素人」なのでトンチンカンかも知れないが、どうかご容赦願いたい。

1.津軽山唄
ステージに登場後、いきなり唄い出す。三味線は弾かず唄のみ。文句なく上手い!というのがまず最初の感想。

~曲が終わったところで挨拶が入る。最近は日本各地で災害が多い。今日のコンサートは「東北を見つめて」と題しているが、東北だけでなく、日本中の人に捧げたい。とのこと。2011年に東北の被災地を行脚した二大目高橋竹山さんだけに、この言葉は重みがある。

2.三味線よされ
見事な演奏。バチの動きは規則的だが、でも思いがけない意外な展開もあって面白い。何度も循環する旋律も耳になじむ。

3.津軽山唄
これも唄のみ。えっ、また津軽山唄? 私にはそう聞こえたのだが、1とは違う曲なので自信がない。ろうろうと魂を込めた唄い方に思わず引き込まれてしまう。

4.十三の砂山
リズミカルな曲。哀愁感あるが、何故か明るさも感じられる。三味線演奏に加えて唄も入る。

5.津軽じょんから節(旧)
6.同(中)
7.同(新)
津軽じょんから節は作られた時期により旧・中・新の三つのバージョンがあるとはびっくり。二代目高橋竹山さんは、初代が苦労したエピソードなども交え分かりやすく教えてくれた。三つのじょんから節に共通して感じるのは、いつ終わるとも思えない心地良いリズムと旋律の繰り返し、そしてそこに時折入る弦を激しくはじくバチの音。永遠の時間が流れるよう。悲しさ、つらさ、そして喜びなどの人間の様々な感情を煮詰めて目の前にさらけ出したようにも。圧巻だったのは、やっぱり新じょんから。あまりの見事なバチさばきに途中から拍手が湧き上がるほど。殆どロックコンサートの高揚感。メリハリが利き、聴かせどころが明確な、まさにスーパー・パフォーマンスだ。

~ここで15分間の休憩が入る。休憩が終わり、二代目高橋竹山さんが再び登場した時には、ズボンが黒から紫色に変わっていた。椅子もなくなり、この後は立っての演奏となる。

8.馬方節
9.牛方節
両曲とも唄のみ。馬や牛に荷物を背負わせて旅する労働歌。しみじみとしていて、ナチュラルで、且つ渋い。途中のかけ声も楽しい。

10.民謡メドレー
~新相馬節、ソーラン節、花笠音頭、大漁唄い込み
新相馬節をじっくり聴いた後は、誰もが良く知る東北民謡。一気に会場全体が盛り上がる。全員が手拍子を打ち、一緒に唄う人も。音楽ジャンルを問わず、こうした観客との一体感作りはとてもありがたい。

11.弥三郎節
悲しい「嫁いびり」の唄。何と15番まである。内容に反してメロディが意外に明るいのが余計に悲しい。

12.紅がすり抄
寺山修司の詞に二代目高橋竹山さん自身が曲を付けたもの。哀切な旋律で歌われるのは、凄味さえ感じられる内容。親はいらぬがいい人欲しい、切ない恋をしてみたい、故郷なんか忘れたい・・・

13.十九の春
沖縄の俗謡。田端義夫がカバーして全国に知られるようになったもの。妻ある男に惚れた女性の哀しい気持ちを唄う。

14.三味線じょんから
初代高橋竹山のコンサートのオープニングで演奏されていた曲とのこと。素人の私でも名曲中の名曲であることが分かる(気がする)。流れるようなメロディ、バチが弾く弦の弾けるような音の気持ちよさ。

15.即興演奏
ステージ上を移動しながら、目をつぶり僧侶のような雰囲気で一心不乱に弾く。三味線の弦の音にもいろいろあることに気付く。弾ける音に加え、唸りのようなものも感じられる。予想を覆す音のシャワーに呆然となってしまうほど。凄い世界だ。

~この後はアンコールとして唄のみの2曲~

16.お立ち酒
宮城県民謡。悲しい別れの唄を切々と唄う。

17.最上川舟歌
山形県民謡。まさに舟歌。船頭たちが声を掛け合いながら舟を操っていく様子が目に浮かぶ。

●今日のコンサートで強く感じたもの。それは二代目高橋竹山さんの「強さ」だ。唄は特別美声という訳ではないが、聴く者の心に強く響く。三味線の巧みさは天下一品で怖いものなし。一方、語りははっきり言って流暢とは真逆で吶々とした口調。しかし、それ故に、彼女の口からポツリと放たれた言葉は重みを持ち、強さを増す。今後も機会あれば是非コンサートに来たいと思う。

以上

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