日生劇場「オペラ・オードブル・コンサート vol.9 プッチーニの男と女」に行く

●2019年8月27日(火)、会社帰りに、日生劇場「オペラ・オードブル・コンサート vol.9 プッチーニの男と女」に行った。会場は同劇場の1階ピロティ。開演は18時30分から。入場料は無料だ。このコンサートは、本年11月9日(土)と11月10日(日)に上演されるNISSAY OPARA 2019『トスカ』の関連企画として開催されるもの。『トスカ』は私が大好きな演目なので当然チケットは既に入手している(11月9日公演)。今日は、歌とトークのあっという間の一時間。とても有意義で楽しい「予習」となった。本番公演が待ち遠しい。

T 日生トスカ プレ.jpg


●今日の出演者は、解説及び司会役の粟國淳さん(本番公演の演出家)、ソプラノの砂川涼子さん、テノールの工藤和真さん、そしてピアノの矢崎貴子さん。歌手のお二人は私が行く11月9日公演のキャストなのでとても嬉しい。

●今日のプログラムは以下の通り。まさにプッチーニの良いとこ取りとも言うべき選曲。今日のコンサートのテーマ「男と女」に相応しい。

1.オペラ『トゥーランドット』第1膜より
お聞きください、ご主人様(リュー)
泣くな、リュー(カラフ)

2.オペラ『ラ・ボエーム』第1幕より
何と冷たい小さな手(ロドルフォ)
私はミミと呼ばれています(ミミ)

3.オペラ『トスカ』第3幕より
君ゆえにだけ、死ぬのがつらかった(カヴァラドッシ)
あなたの命を救うことができた愛は(トスカ)

●粟國淳さんのトークは面白くて内容が深い。プッチーニ自身は巷間言われるようなプレイボーイではなく寧ろ不器用だった。だからこそ彼はオペラという音楽の中に愛を注ぎ込んだ(音楽=MUSICAが女性名詞であることにも注目!)。その愛はオペラの中の男女の会話にはっきり表れる。『トゥーランドット』は「犠牲の愛」、『ラ・ボエーム』は「ポエムの愛」、そして『トスカ』は「情熱の愛」。といった感じで、プッチー二がオペラの中で描く女性像を読み解いていく。

●なお、プログラムが『トスカ』に移る際に、大変重要なメッセージが伝えられた。カヴァラドッシは最後の銃殺の場面で自らの死を知っていたのかということ。ここが演出とって大きい。トスカが「上手に倒れてね」と言い、カヴァラドッシが「大丈夫」と答えるが、ト書きには「悲しげに」とある。とのこと。たぶん、今回の演出に関するヒントになりそうだ。

●砂川涼子さんは、文字通り日本を代表するソプラノのお一人。その活躍の勢いは止まる所を知らない。今年の首都圏、しかも主だったものだけでも、既に1月の藤原歌劇団『ラ・トラヴィアータ』(ヴィオレッタ)、4月の新国立劇場『ジャンニ・スキッキ』(ラウレッタ)、7月の新国立劇場『トゥーランドット』(リュー)での好演が光り、今後も、9月の藤原歌劇団『ランスへの旅』(コリンナ)、11月の日生劇場『トスカ』(トスカ)、そして12月には紀尾井ホールでのソロ・リサイタル等が予定されいる。

●さて、砂川涼子さんのレパートリーは広いが、今日の3曲は彼女にとって特にお得意なもの。その美しい立ち姿や心を打つ見事な歌唱には文句のつけようがない。さらに今日は、オペラとは違い至近距離(5mほどか)からの鑑賞ということもあり、きめ細かな表情の変化等、演技力の素晴らしさに改めて驚嘆した。

●粟國淳さんからの質問に対して興味深い発言も。プッチーニの描く女性は、基本的には純粋で優しい心を持っているが芯も強い。女性から見てやや共感しにくいところもあるが、舞台でいかに多くの人に共感してもらうかが私の使命。形式がしっかりしているヴェルディのオペラと比べ、プッチーニのオペラは、歌詞とメロディがより一体化し、さらにお芝居など全てを含めて表現する必要がある。自分は悲しい役が多いが、ドニゼッティの「愛の妙薬」のアディーナにような可愛くて頭が良い役も好き。でもプッチーニは一番好き。とのこと。

●工藤和真さんは、まだ29歳。前途洋々たる日本声楽界のホープだ。堂々たる体躯から繰り出される豊かな声量と見事な表現力に圧倒される。私は今日初めてお聴きしたが、今後目を離せない存在になりそう。


●粟國淳さんからの質問への回答の中で、昨日の東京音楽音楽コンクール声楽の部で第1位なしの第2位を受賞したニュースも披露され、会場からは大きな拍手。続けて、オペラデビューは26歳の時の「カヴァレリア・ルスティカーナ」のトゥリッドゥ役。この後、「椿姫」のアルフレード役、「トゥーランドット」のポン役。「トスカ」のカヴァラドッシに対しては、生と死への思いが強い芸術家という印象。この気持ちをどう表現するかを毎日考えている。とのこと。

●プログラムの曲がすべて終わった後のアンコールは、工藤和真さんが『トスカ』から「妙なる調和」を歌った。本当に素晴らしい。会場は割れんばかりの大拍手。

●最後になったが、ピアノの矢崎貴子さんについて。彼女の貢献は伴奏だけではない。もちろん伴奏のテクニックは申し分ないが、今日はソロ演奏でも活躍した。プログラムの『トゥーランドット』と『ラ・ボエーム』の間には「ムゼッタのワルツ」(正確に言えばその原曲の「ピッコロ・ワルツ」)、『ラ・ボエーム』と『トスカ』の間には「星は光りぬ」、そして『トスカ』と『アンコール曲』の間には「世界会議にために作曲した軽快な曲」をこともなげにさらりと演奏してくれたのだ。ピアノは上手いし、とても気が利いた趣向だ。間違いなく今日のコンサートの円滑な進行に一役も二役も買っていた。

以上





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