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zoom RSS 新国立劇場バレエ公演「不思議な国のアリス」を観る

<<   作成日時 : 2018/11/08 22:32   >>

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●2018年11月3日(土)、新国立劇場バレエ団公演「不思議の国のアリス」を観た。見事な踊り、色鮮やかな舞台装置、そして現代的だが平易で分かり易い音楽が一体となって描かれるルイス・キャロルの不思議な世界。本当に素晴らしい。

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●この作品は2011年に英国ロイヤル・バレエ団で世界初演され、以降、世界中で人気演目となっている。今回の公演は日本のバレエ団として初めての上演であり、新シーズン(2118-2019)の幕開けとしてまさに打ってつけの演目。いやシーズンを通じて最大の目玉と言っても過言ではない。

●ストーリーは原作にほぼ忠実に沿って展開されるが、ちょっとした、でもとても気の利いた演出もある。そもそも、この児童小説が書かれたきっかけは、キャロルが知人であるリデル家の娘たち(ロリーナ、アリス、イーディス)に即興の話を聞かせたところアリスがとても気に入ったからとされている。バレエ作品ではこれにヒントを得たのか、冒頭、キャロル自身が登場し、リデル家の娘たちに本を読んで聞かせるシーンから始まり、そのあと、キャロルは白ウサギに変身しアリスを不思議の国に誘い込む。そして冒険を終え、元の世界に戻りベンチで目を覚ました時にもキャロルが現れる。今のははたして夢だったのか? 舞台後方の床を見ると「活字」が並んでいて大きな本を開いたよう。そうか、舞台全体が本のページであり、ここで展開されるのは本の中の物語ということなのか。なかなか楽しい演出だ。

●それでは、主要なスタッフおよびキャスト(本日分)を確認しておこう。

<スタッフ>
音楽:ジョビー・タルボット
振付:クリストファー・ウィールドン
指揮:ネイサン・ブロック
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

<キャスト>
アリス:小野絢子
庭師ジャック/ハートのジャック:福岡雄大
ルイス・キャロル/白ウサギ:木下嘉人
アリスの母/ハートの女王:本島美和
手品師/マッドハッター:菅野英男  ラジャ/イモ虫:宇賀大将
公爵夫人:輪島拓也  牧師/三月ウサギ:清水裕三郎  
聖堂番/眠りネズミ:高橋一輝  料理女:中田実里
召使/魚:井澤諒  召使/カエル  
アリスの姉妹たち:飯野萌子、広瀬碧  執事/首切り役人:中家正博
3人の庭師:小野寺雄、佐野和輝、中島瑞生

●「不思議の国のアリス」には印象的な場面がたくさんある。第1幕では、アリスが白ウサギを追って鞄に飛び込み長いトンネルを落ちて行ったり、アリスの体が小さくなったり大きくなったり、自分が流した涙の湖を泳だり、田舎の一軒家で料理人の女が肉切包丁を振り回しながらソーセージを作っていたり。ハートのジャックはハートの女王の護衛たちに追われている。特に第1幕でのプロジェクション・マッピングの使い方はとても見事だ。第2幕では、チェシャ猫、帽子や、三月ウサギ、眠りネズミ、イモ虫等のお馴染みのキャラクターが姿を見せる。チェシャ猫はまるで宙に浮いているようだ。お茶会に登場する巨大なティーポットもとても楽しい。ハートのジャックはここでも逃げ回っている。第3幕では、フラミンゴやハリネズミを道具にしたクロッケーの試合が行われたり、ハートのジャックの裁判が始まったり。しかし、この幕の主役は何と言ってもハートの女王だ。その真っ赤で重装備の出で立ちには本当にびっくりする。そして最後は、アリスの一押しで全員が将棋倒しに倒れてしまい(みんなトランプの札だから)、ここでアリスは元の世界に戻って目を覚ます。この第3幕は、赤と黒が対照的な舞台装置がとても美しく、ストーリーの展開もテンポが良いので、一時も目が離せない。なお、第2幕と第3幕の間に、舞台には、血が滴る大きな斧(数メートル)が現れる。刃の部分に書かれた「INTERVAL」が席に戻ると「ACTV」に変わっていた。なんと粋な演出! 

●出演者の方々の演技にも大満足だ。アリス役の小野絢子さんは新国立劇場バレエ団のスター中のスター。放つオーラが眩しいほど。可憐な容姿と卓越したテクニック、そして見事な演技で観客を魅了。一方、庭師のジャック/ハートのジャック役の福岡雄大さんは常に小野絢子さんとペアを組む男性ダンサーのエース。颯爽とした演技とシャープな動きが魅力的だ。このように主役の2人が素晴らしいのは当然だが、私はアリスの母/ハートの女王役の本島美和さんに是非とも注目したい。ハートの女王は悪役だが、その踊りはコミカルでちょっと哀しい。技術的にも表現的にも難易度が高そうだ。本島美和さんは大変な美形であり、テクニックも抜群である。そうした彼女が踊るからこそ、この役をキャロルが意図した大きな意味を持つものにできるのだ。このほかルイス・キャロル/白ウサギ役の木下嘉人さん、料理女役の中田実里さん等、全員が熱演した。新国立劇場のダンサーのレベルは本当に高い。

●音楽についても触れておこう。ジョビー・タルボットの創り出す音楽は実に多彩で、目の前で展開される「びっくり箱」のような光景にぴったりの旋律とリズムが繰り出される。上質で緊張感ある映画音楽のようだ。管弦楽も好演であったが、特に打楽器の活躍が際立っていたように思う。

●今日の公演を観て強く感じたこと。それは、バレエとは古いものを繰り返すだけではなく、常に新しく生み出されるものだということ。「時代とともに在る」と言い替えても良いかも知れない。決して言葉遊びではなく、コンテンポラリー(同時代の意)・ダンスとの距離は限りなく近いと思った。

以上




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