黒色奇譚カナリア派活動停止公演『誤/娯楽』を観る

●2011年12月10日(土)、こまばアゴラ劇場(駒場東大前)で、黒色奇譚カナリア派活動停止公演『誤/娯楽』を観た。赤澤ムックさんが主宰するこの黒色奇譚カナリア派は、私が特に好きな劇団の一つだ。本公演でも、この劇団が創り出す、美しくも妖しい、おどろおどろした世界を堪能することができた。
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●まずは主要なメンバーを確認しておこう(敬称略)。今回の最大の特徴は、活動停止公演ということもあってか、赤澤ムックさんと親しい劇団から多く参加していることだ。

◆作・演出:赤澤ムック
◆出演:
牛水里美 山下恵 芝原弘 中里順子 赤澤ムック (以上黒色綺譚カナリア派)
弦巻啓太(弦巻楽団・札幌)  山田百次(劇団野の上・青森) 
山崎彬(悪い芝居・京都)  
江崎穣( 福岡・もっと「 演劇はいつでも3Dじゃねえか」と叫ぼう会ハリケーンディスコ )
片桐はづき(箱庭円舞曲) 福原冠 加藤文也

●舞台は、とある鄙(ひな)びた村落。物語は盲目の老女が語りだす。この村(天王寺村)の霊山ともいうべき山には化け物が棲みついていた。毎年1人化け物の世話係を出さねばならない。この村の悪習を調査すべく、区役所(なぜか)の職員が訪れ、もう一人、通りすがりの若者がこの村に迷い込む。区役所職員は、口外しないよう執拗な説得を受け、若者は捕えられ縄で繋がれる。2人の目の前では、次々と村人たちの異常な言動が繰り広げられる。はたして、2人は、この危険な村から脱出できるのか。それとも・・・。

●黒色奇譚カナリア派の魅力は、なんといってもこの劇団の持つ雰囲気そのものだ。懐古趣味的、土着的いや神話的とも言えるテーマを、巧みな音響と話術を用いて、極彩色の芝居として、圧倒的なパワーをもって観客の目の前に突きつける。乗越たかお氏の表現をまねれば、「不気味と紙一重の美しさ」あるいは「不気味と紙一重の美しさと紙一重の不気味さ」といったところか。古びた祠(ほこら)とそれを取り囲む紅白の幕、祠に仁王立ちする霊媒師のような女、柱に縛られた娘、一件まともだが正体不明の村長、突然ラジオから鳴り出す奇妙なアナウンスなどなど。今回の公演も、正に、この表現に相応しく、活動停止公演の名に恥じない(?)ものであった。

●赤澤ムックさんは、美形にして、得に言われぬ凄味がある。彼女が創り出した数々の芝居を見る限り、その鋭く特異な感性には感嘆せざるを得ない。黒色綺譚カナリア派が活動停止に至った経緯は分からないが、とても驚きそして残念と思うファンが数多くいるはずだ。劇団活動の再開なのか形を変えての活動開始かは問わないが、私は、鬼才あるいは異能の人、赤澤ムックさんの創り出す世界をもっともっとみたいと強く願う。

以上



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