SPIRAL MOON 演劇公演『キネカメモリア』を観る

●2011年11月26日(土)、下北沢「劇」小劇場で、「SPIRAL MOON」の演劇公演『キネカメモリア』を観た。。私は、前回公演の『惑星のピクニック」(2011年6月)を観て以来、この劇団の魅力にすっかりはまっている(前回公演の記事はこちら)。今回も、「本当に良い芝居を観たなあ」という確かな満足感がある。

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●本公演の主要なメンバーは以下の通り(敬称略)。なお、出演者は、月組・星組のダブルキャスト(数名は重複)となっており、私が観た26日は月組が担当している。

【作】横田雄紀
【演出】秋葉舞滝子
【出演】河嶋政規、海原美帆、磐田健二、村上貴弘、秋葉舞滝子、星達也、丸本育寿、おぉじのりこ、城戸啓祐

●舞台上は、映画館のロビーの設定。受付のデスク、売店のショーケース、休憩用の椅子数脚が置かれ、そして右手には観客席へと通じる扉がある。しかし、何と言っても、圧巻なのは、壁に貼られた20枚ほどの映画ポスターだ。山猫、シャイニング、フィールド・オブ・ドリームズ、嵐が丘、凱旋門、愛の嵐、眩暈(めまい)、悲しみよこんにちは、など、懐かしい映画が並び、思わず見入ってしまう。

●この映画館は、とある田舎町にある。館主の祖父の代から65年続いているが、最近ではお客の数もすっかり減ってしまい、かつての賑わいはない。それでも、映画、より正確に言えば「映画館で見る映画」に魅せられた人たちが、何かに吸い寄せられるように通ってくる。学生運動の元女闘士、年増のストリッパー、チンピラ、謎の学生など。そして、さらに、もう一人異質な者も登場する。デベロッパーと称する「地上げ屋」だ。どうも、この地域一帯に大手企業が主導する再開発事業が計画されているらしい。元女闘士はなぜ「さよならコロンバス」の上映をを強く望んでいるのか、年増のストリッパーは何を思い踊るのか、学生はなぜ同じ映画を連日見に来るのか、そして、この映画館は生き残ることができるか。物語は、彼らたちと、彼らを迎え入れる映画館の館主、映写技師、そして売店のアルバイト女性との、時に切なく、特に辛辣で、そして時にユーモアあふれる会話を通じて、各登場人物の過去や現在の心情を次第に明らかにしながら、心地よいテンポで展開していく。

●この作品の魅力はどこにあるのだろう。作品を通じて語られる映画に対する熱いメッセージは、映画ファンにとって、ことのほか嬉しい。しかし、私は、一人ひとりの人間の描き方にこそ、最大の魅力があると思う。登場人物の多くは、各々「過去」を持ち、その「過去」は現在の生き方に色濃く結びついている。もちろん「過去」とは「一点」ではなく、現在に至る「線」のこと。「前を向いて生きて行こう」というのは正論で勇ましいが、やはり人は前ばかり向いては生きてはいけない。過去を素直に受け入れ、過去と共存することで、初めて現在を生きることができる。ちょっと大げさに言えば「人間存在の本質」。前回の作品を含め「SPIRAL MOON」の作品を観ると、何故か、そんなことを考えてしまう。

●都内に劇団はいったいいくつあるのだろう。数百? 千? 定かではないが相当な数に及ぶはずだ。この中から、自分の感性にぴったり合う作品を演じる劇団を探し出すことはとても難しい。そういう点で、今年6月、この「SPIRAL MOON」に偶然出会ったのは、全くもって幸運であった。次回公演は2012年6月。早くも待ち遠しくてならない。

〈全くの余談ですが〉

●劇中で、地上げ屋が挨拶の手土産に「舟和の芋ようかん」を持ってくる場面がある。影響されやすい私は、早速、東急東横店(渋谷)で、買ってしまった。甘みが適度に抑えられとても美味しく、しかも各段に安い。お薦めだ。
(写真は舟和さんのHPからお借りしました)
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以上

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